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この記事の概要
大規模修繕工事とは建物の経年劣化を防ぎ、資産価値や居住性を保つために計画的に行われる工事のことです。一般的には、建物の構造や仕様による違いはありますが、10年から15年位の周期で行われることが多いです。実際の工事としては建物全体に足場を掛け、主に外装塗装工事やタイルの補修工事、防水工事、鉄部の塗装工事などをまとめて実施するため、工事費用が高額となる傾向があります。
この工事費用をどのように準備するかは、大きな問題となります。新築時には長期修繕計画を整え、費用の準備を計画的に進めることをお勧めします。例えば、費用の準備方法としては、以下のものが挙げられます。
なにより計画通りに修繕工事を進めていくことは大切ですが、同じ築年数の建物・設備であっても、自然環境や立地、使用頻度、使い方などの違いによって劣化の違いが生じるので、先ずは建物診断(劣化診断)を実施して建物の現状を把握することが大切です。
この診断内容を基に「劣化防止のために必要な補修工事の内容と見積り」と「実施スケジュール」を建築士などに提案してもらい計画的に効率の良い大規模修繕工事を実施することをお勧めいたします。
近年のお部屋探しではインターネットが広く活用されている状況にあり、インターネット募集時の外観や室内の写真や動画が内見に誘導する重要な情報になります。
室内の美観はもちろんのこと、メンテナンスが不十分で外観、特に共有部分のエントランス、階段周り、外壁などが老朽化していると印象が悪く、内見に至らないケースが多いと考えられます。さらに入居者にとっても住環境の整備は居住満足度を高めることになり、稼働率アップにもつながります。
築年数が経過し、老朽化が進むと建物そのものにさまざまな危険が生じます。
例えば、外壁材の老朽化が原因での剥離や落下事故、階段や手すりの鉄部腐食に伴う破断事故などが発生し、入居者や第三者に損害を与えるような事態になった場合には、所有者がその責任を負わなければならなくなりますので、極めて重大な問題となります。
賃貸建物の構造によってはその耐久性や断熱性に違いがあり、建物の寿命が異なります。しかしながら、定期的な修繕を行うことで建物の寿命を長く維持することができ、建物価値の維持に繋がります。
大規模修繕費用に関しては、賃貸建物の価値を向上する資本的支出となり、減価償却の対象になります。
定期的な大規模修繕工事を実施することで建物の劣化を防ぎ賃貸建物の寿命を延ばすことに繋がれば、長期的に安定収入を得ることが期待できます。
このように、建物は建築して終わりという訳ではありません。長期にわたって安定した家賃収入を得るためには、定期的なメンテナンスを実施する必要があります。
大規模修繕工事は、建物の美観を維持するだけではなく、資産価値の維持と収益確保、老朽化に伴う事故の発生など賃貸経営におけるさまざまなリスクを回避することにも繋がる重要な工事ですので、適切な時期に適切な内容で計画的に実施することをお勧めします。
中村 賢治
多岐にわたる不動産業務経験と投資用不動産仲介支援業務の中でお客さまの様々なニーズにお応えしてきた経験を持つ。現在は、賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントにおいて、オーナーさまからの賃貸管理、土地有効活用、建替えなどのご相談をお受けする業務に従事。金融機関主催のセミナー、営業職向けの不動産勉強会等の講師を多数実施。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2023年8月28日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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